INTER BEE CONNECTED企画セッション「ラジオからメディアの未来を考える」(2017年11月17日)実況まとめ(個人用)

下記セッションを個人的に実況したまとめです。内容に誤りがないことを保証しません。

11月17日(金)10:30-11:30
ラジオからメディアの未来を考える

モデレータ:
三浦文夫氏(関西大学)

パネリスト:
青木貴博氏(radiko)
三村 孝成氏(TBSラジオ)

まとめを作った人: sknsdys @sknsdys
タグ: InterBEE InterBEE2017 INTERBEECONNECTED ラジオ radiko

11月17日(金)10:30-11:30
ラジオからメディアの未来を考える

モデレータ:
三浦 文夫 氏
関西大学 社会学部 教授

パネリスト:
青木 貴博 氏
株式会社radiko 代表取締役社長
三村 孝成 氏
株式会社TBSラジオ 取締役 メディア推進局長

[public] 2017/11/17 10:28:24

三浦氏:三人の関係を最初にお話しさせていただく。僕自身もradikoの言い出しっぺ。8年ぐらい前、放送局の許可を得なければいけないというときに、放送局のキーマンが三村さん。それ以降いろんなことをやってきたが、いろいろな権利者交渉をこの三人で進めている。

[public] 2017/11/17 11:58:05

青木氏:radikoの基本的なお話をさせていただく。radikoの配信開始日が2010年3月15日に実証実験として立ち上がり、その年の12月1日に本配信が開始され7年半が経った。本配信開始の日に会社が立ち上がった。最初は東阪13局。現在は90局に。毎月のユーザーは1000万から1100万で推移。毎日のユーザーは100万人。月に聞かれた時間を足し合わせると40億分。ひとり当たりにすると6時間15分。月刊延べ聴取回数は7500万回、1ストリームあたり55分。聴取デバイスは昨年10月にアンケート。2年前から1年でスマートフォンでradikoを楽しんでんでいるいる人が倍増している。radikoプレミアムは45万人に登録いただいている。タイムフリー聴取は昨年10月11日に実証実験として始まっている。月間270万人にお使いいただいている。現在、3月30日まで実証実験でNHKにも参加いただいて配信している。

[public] 2017/11/17 11:58:54

三村氏:民放連を中心に取り組んでいるラジオ価値向上施策について。「次世代のラジオ」というが、ピークの時に比べてレーティングも売り上げも二分の一になっている。シンポジウムの企画者に「ラジオはテレビと違って仲がいいですね」と言われたが、個社で競争している場合ではない。尻に火が付いている。民放連でもradikoを中心に考えている。メディア全体としてネットメディア化しているのはradikoしかない。スマホにメディア全体で張り込んだ唯一のメディアと考えていい。世界でも例がないもの。ラジオメディアの再価値化にradikoを武器に考えているのが最近の流れ。

[public] 2017/11/17 11:59:31

三村氏:タイムフリーができるようになってradikoもシェアができるようになった。ワンクリックでSNSに飛んでいく機能をradikoに搭載。これも民放連の研究グループがお願いしたもの。ネットメディアはいつでもどこでも友達と共有できる。radikoは名実ともに機能としてはネットメディア化したと思う。

[public] 2017/11/17 12:00:01

三村氏:もう一つ民放連で取り組んでいるのはradikoのハイブリッドラジオ化。スマホで放送と通信をコンバインする。ハイブリッドラジオは世界的な流れ。これだけラジオを聞かない国民は日本人だけ。100人いたら95人が聞いているのか欧米の平均的な姿。スマホにFMチューナーが入っていてアクティブになっている。日本のスマホにもチューナーは入っているがアクティブ化していない。アプリを作ってほしいとすべてのメーカー・キャリアにお願いしようとしたが門前払い。すでに2000万人がダウンロードしているradikoのアプリでFMが聞けるようにするという提案をしたらすごく反応がいい。詳細は言えないが来年の夏頃を目途に日本で発売されているスマホのradikoアプリでFMが聞けるようになると期待している。目標はiPhoneも含めて日本人のすべてのスマホをFMラジオにする。

[public] 2017/11/17 12:00:07

三村氏:アメリカの事例だが、ハリケーンがあった。一段と災害エリアが広かったので通信が輻輳した。ハイブリッドラジオの重要性が国民のコンセンサスとして広がり、ステージを上げたというニュースを聞いている。
ラジオクラウドについて。博報堂DYが事業主体だがTBSラジオもコンテンツを提供している。radikoとバッティングしないかと企画者に質問を受けたが、そもそも媒体特性が違う。radikoは時間軸で編成され、リスナーも時間軸で聞くフローのメディアサービス。対してラジオクラウドはストック型のサービスとCPとしては捉えている。紙にも新聞と週刊誌、月刊誌や書籍があるように両立するだろうしユーザーとしても楽しみの世界が広がると考えてる。自分の好きな番組が何年も取っておけるということになるだろうし期待している。

[public] 2017/11/17 12:00:27

三浦氏:規定演技はこれまで。これからは自由演技に。AIスピーカーはオーディオメディアとして非常に追い風。いま出ているスマートスピーカーにはすべてradikoを搭載している。追い風だが正念場でもある。
青木氏:スマートスピーカーに「radikoをつけて」と言えば聴けるようになった。AIスピーカーは音声のコミュニケーション。音だけで情報を得ることに不慣れな方が多いと思うが、音で情報を得ることになれはば、radikoがぐっと生活者に近づくことを期待している。

[public] 2017/11/17 12:00:40

三浦氏:Google Homeを試してみている。部屋の遠くからラジオを聞かせてと言うと反応してくれる。アメリカではAmazon Echoがブームに。スマホのアプリを作っていたのがスピーカーのスキルを作るようになった。Googleでも検索の二割が音声。今後音声でのやりとりがキーになる可能性がある。
三村氏:期待半分、不安半分。スマホでラジオを聞くということはほとんどイヤホンで聴いているが、スピーカーで空気の振動で聞くのが本来の楽しみ方。スピーカーラジオは家で家事しながら、仕事しながら、あるいは運転しながら。今回スマートスピ-カーにradikoが入ったということはもう一度空気の振動で聞いてもらう環境が再び整うかなと期待している。

[public] 2017/11/17 12:00:53

三浦氏:音楽とラジオは元気なときは両方元気だが、だめな時は両方だめ。若い人はスピーカーの体験をしていない。Google Homeは低音がすごくいい。スピーカーで楽しむところに戻ってきてほしい。
ビジネスの話。ネットメディアとマスメディアの枠がなくなっているというが、広告主は枠や面を買うのではなくどうそれぞれの「人」に行くかに変わって来ているがメディアは枠を売ろうとしてる。いよいよプログラマティックの広告も検討していると聞いているが。

[public] 2017/11/17 12:01:04

青木氏:検討はもちろんしている。欧米はすでにプログラマティックオーディオアドは普通。radikoは来年を目途に準備をしている。radikoのプログラマティックオーディオアドのイメージは、ラジオ受信機でラジオを聞くとすべて同じCMを聞くことになる。radikoで同じ番組を聴くと、それぞれのユーザーに合ったラジオCMが流れてくる。これは通信だからできる。radikoもみなさんの属性、志向性をDMPの形で充実させていってCMを流していく。広告主も、出稿じゃなく投資という感覚になってきていると思う。radikoのオーディオアドはDMPを使ってユーザーを探すことができる。興味がありそうな人にCMを当てることができる。

[public] 2017/11/17 12:01:43

青木氏:現状、ラジオの広告費は2500億円強と20年間で半減。旧来はメディアごとに予算配分していた時代があるが、広告主の中で事前にラジオのお財布を作ってくれるところは減ってきてしまった。そのお財布を101局が取り合う状況。それより大きい財布を狙っていく方がいい。大きい財布というのはネット広告。少しでも早く立ち上げられるように放送局と話し合っている。

[public] 2017/11/17 12:01:49

三浦氏:プログラマティックになると放送局は関係なく、いままでの放送の広告の文脈とは変わっている。放送局はそんなことをいってられないということか。
三村氏:ラジオはネットメディア化したのでデジタル広告予算を堂々と取りに行ける。プログラマティックオーディオアドが広告主に認めてもらえると、テキストや画像、動画の中にオーディオが入り込むことができる。いままでは広告主は面を取りに行っていたが、プログラマティックオーディオアドで広告主に時間という概念を与えることができる。デジタル広告の新たなトレンドができると期待している。

[public] 2017/11/17 12:02:03

三浦氏:そういう話を聞いていると、放送技術とアドテクの距離を感じる。ちょうどその真ん中にあるradikoがアドテクに粋すぎてもよくないしそのバランスをどう取るかが課題。ここに来られている方はテレビの見逃し配信、オンデマンドなといろんなサービスがあると思う。これからテレビとラジオはスマホの中で時間を取り合うという競合になる。もうひとつ競合は音楽のサブスクリプションサービス。日本はCDというフィジカルメディアが売れているという特殊な国。AIスピーカーやコネクティッドカーが出てくるとサブスクリプションサービスとガチンコの競争になるが、radikoは勝ち抜いていけるか。

[public] 2017/11/17 12:02:10

青木氏:勝ち抜くつもりでやっていかねばならない。テレビの同時配信は2020年のオリンピックが目途。3年もあるし3年しかないと言える。生活の中でラジオを聞いていただくということあと3年で必死にやらないといけない。テレビがどころでも見られるようになってラジオを選んでもらえるというか。radikoはユーザーを増やそうとしているが知らせなければわからない。100人中95人がラジオを聞いていないが、ブルーオーシャンと捉えたい。通勤電車でスマホすら見れないぐらい混雑している中、ラジオを聞いて情報を得ながら通勤できるというのも知らせていかなければいけない。テレビとラジオがド競合になると思っているので、ここ2、3年でラジオの良さ、価値を再定義して世の中に訴えるのは必須だと思っている。

[public] 2017/11/17 12:02:21

三浦氏:テレビも見逃し配信やオンデマンドの統合的サービスをするしかないと思うが、足並みが揃ってなく技術面の話しか聞こえてなく、ビジネスや権利処理の話に触っていない。TBSは兼営局としてどう思うか。
三村氏:競争するならぶっちぎらなければならない。しかし共存するという考えもある。ユーザーにとってはサブスクリプションも同じアプリの方が便利。いま競争しているのはスマホのデフォルトの10個のアプリにしてもらえるかどうか。GoogleやLINEなどの億単位のアプリと競争している。

[public] 2017/11/17 12:02:30

三浦氏:個人的な意見だが、最近の若い子はInstagramをものすごくよくやっている。インスタ映えする写真を撮ることがコミュニケーションになっている。静止画+オーディオの世界は広がっていくと思う。新しいメディアの形としてあるんじゃないかなと思う。
三村氏:ヨーロッパでのラジオは番組配信に静止画がついているのは多くなってきている。
三浦氏:BBCは「WATCH & SHARE」と言っている。ビジュアルメディアと境界がなくなってきている。
青木氏:音だけでなく、音声といっしょに広告がポップアップで出てくるように、音声と連動した画像が出せるようになっていく。

[public] 2017/11/17 12:02:43

三浦氏:音楽のサブスクリプションも一つのアプリでいったりきたりできることだが。
三村氏:一番いい共存のしかたはradikoアプリで音楽を聴けるようになること。ユーザー目線でもそれが便利。
三浦氏:アメリカのフルハートレディオではラジオで一回流した曲が聴けるというサブスクを作って好評を博している。しかし放送局としては競争相手といっしょになるのかという考えもあると思うが。
三村氏:別のアプリだと本当の競合になってしまう。行ったり来たりができるほうがいい。

[public] 2017/11/17 12:02:54

三浦氏:今後のオーディオプラットフォームとしてどういう方向に持っていきたいか。
青木氏:radikoはラジオを中心としたオーディオプラットフォームを目指している。課題は番組や楽曲、ユーザーのID化などメタデータの整備。ログインして聞いてもらえればユーザーのことがよくわかる。無料の会員組織を作り、ログインして聞いてもらえれば情報が得られてCRM的なことができるようになる。マネタイズはラジオの売り上げ回復に貢献できればと思うと同時に、プレミアム会員は日本国内でしかやっていないが、全世界に出すこともイメージしている。権利をクリアしていって、世界の方々に日本のラジオ、日本の音楽を聴いてもらうチャンス。45万人のプレミアム会員が何千万に広がる可能性がある。トランザクション、radikoの画面で取引するのもマネタイズに貢献。楽曲やチケットを買ってもらうのがイメージに近いが、radikoで洗濯機が売れる日も来る。

[public] 2017/11/17 12:03:01

三村氏:アナログな話だが、未知なるものとの出会いがテーマになっていく。検索しても見つからないものが番組の中にないと、ラジオ番組にないとだめなんだと思う。番組制作者だけでなく技術者も考えることが非常に大きい。優れた音のユーザー体験をラジオ番組が与えられるかどうか。それが一番わかりやすい未知なるものとの出会い。インフラが整備できても、最終的には音としての番組がどういう競争力を持つかというところに戻ってきたと思う。
三浦氏:ラジオメディアは地域で自主編成をしている。テレビは残念ながらローカル率は非常に低いのでラジオはローカルで果たす役割は大きいし、radikoというプラットフォームを使って、例えば地域通貨、ラジコインと呼んでいるが、そういうものを使って経済や文化に役立つとか、かなりいろんな可能性がある。残された時間でどれだけドメインをしっかりしたものにできるかということが勝負だと思うので、がんばっていきましょう。ありがとうございました。

[public] 2017/11/17 12:03:16

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